研究課題/領域番号 |
04670224
|
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
小林 仁 千葉大学, 医学部, 助手 (80009654)
|
研究分担者 |
畑 英一 千葉大学, 医学部, 助手 (00110304)
新村 宗敏 千葉大学, 医学部, 助教授 (60059095)
|
キーワード | バンクロフト糸状虫 / フィラリア症 / 酵素抗体法 / 循環抗原 / モノクローナル抗体 |
研究概要 |
バンクロフト糸状虫ミクロフィラリアに特異的に反応する2種のモノクローナル抗体を高速液体クロマトグラフィーを用いて高度に精製することができた。これらの精製モノクローナル抗体を用いてバンクロフト糸状虫症患者血清中のミクロフィラリア由来の循環抗原の同定、定量を試みた。対象とした患者血清はブラジル・ペルナンブコ州レシフェ市近郊のバンクロフト糸状虫症流行地であるジャボアターン地区の住民より採取した。2種のモノクローナル抗体を用いた重層酵素抗体法(Sandwitch ELISA)で140名のミクロフィラリア陽性者の138名に抗原が検出された。血中にミクロフィラリアが見られない象皮病、乳糜尿患者等の臨床的にフィラリア症を示す(臨床的フィラリア症)グループでは25名中2名にのみ抗原が検出された。また同地の一般健康人(流行地コントロール)より採取した30検体中2例に抗原を検出した。抗原量は夜間採血の血中ミクロフィラリア数に極めてよく一致した(r=0.64,p<0.01)。臨床的フィラィア症グループにおける抗原陰性現象は、高抗原産性に依るところの血中抗原の中和と考えられる。臨床的フィラリア症患者で血中抗原陰性の23名中16名にミクロフィラリア抗原にたいする抗体が検出された。フィラリア症に無縁の千葉県住民の血清中には抗原、抗体ともに検出されず、更に消化管内寄生虫感染症患者血清中にも同様に抗原、抗体は見られなかった。このように酵素抗体法による寄生虫抗原の検出に一部制限は見られたものの、アクティブなバンクロフト糸状虫感染症の診断にはこの方法がこれまで報告されたいかなる方法に比してはるかに優れたものであることが証明された。
|