研究課題/領域番号 |
04670235
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
寄生虫学
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研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
田邊 将信 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (80051928)
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研究分担者 |
藤本 啓二 慶應義塾大学, 理工学部, 助手 (70229045)
金子 信明 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (50177523)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1994
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キーワード | マンソン住血吸虫 / 肝線維化 / コラーゲン合成 / コラーゲン特異的mRNA / 合成アニオニックポリマー / 無細胞蛋白合成 / 肝実質細胞 / 線維芽細胞 |
研究概要 |
1.各種アニオニックポリマー、あるいはポリイオンコンプレックスのマンソン住血吸虫感染マウスへの投与効果を検討し、アクリル酸ホモポリマー(HOMO-AP)だけに明かな投与効果が観察された。感染後7週までにHOMO-APを投与すると、マウスの肝線維化が促進され肝内コラーゲン量の増加が観察された。そこで、HOMO-AP投与マウスを線維化促進因子の精製に応用した。初代培養線維芽細胞のコラーゲン合成活性を指標として、感染マウス肝抽出液からの精製を試みたが、途中で活性が消失し精製は困難であった。これに対して、HOMO-AP投与マウスの肝臓から分離した虫卵性肉芽種をin vitro培養し、その上清から線維化促進因子の精製を試みたところ、各種クロマト法によって部分精製が可能となった。 2.本症の肝線維化におけるコラーゲンの蓄積は虫卵性肉芽腫に一致してみられ、虫卵性肉芽腫形成が活発な時期(感染後7〜11週)に肝内コラーゲン量の急激な増加がみられる。この時期の肝内プロコラーゲンmRNA量、遊離プロリン量、さらにはin vitroコラーゲン合成活性はいずれも高値を示した。これに対して、感染12週以降では肝臓内コラーゲン蓄積量の増加は殆ど認められなくなる。この急激なコラーゲン蓄積量減少の原因の一つとしてマウス肝臓内でのコラーゲン合成の低下が推定されたが、この時期の肝内プロコラーゲンmRNA量およびin vitro コラーゲン合成活性は依然として高い値を示した。一方、感染12週以降の肝内遊離プロリン量は著明に低下していること、さらには肝スライスを用いたin vitro コラーゲン合成はプロリン濃度に依存することから、肝内プロリン濃度の低下がマウス肝臓内コラーゲン合成低下をもたらしている可能性が示唆された。以上の成績から肝臓の遊離プロリンが住血吸虫症における肝線維化機構に主要な役割を演じていることが推定された。
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