毒素原性大腸菌が産生する耐熱性下痢毒素の受容体(STa受容体)は、膜結合型グアニル酸シクラーゼGC-Cであることが明らかになった。その構造と機能を解析する目的でブタGC-C遺伝子のクローニングを行った。ラットGC-C遺伝子の一部をプローブとしてブタの小腸から作製したcDNAライブラリーをスクリーニングした結果、17個のクローンを得た。これらのクローンよりブタGC-C遺伝子の塩基配列(3773塩基)決定した。 ブタGC-Cをコードしている塩基配列は3219塩基で24残基のアミノ酸がシグナルペプチドであり、ブタGC-Cは 1049残基のアミノ酸からなる約121kDaの糖タンパク質であった。 ブタGC-Cの407残基目のIleから430残基目のLeuまでが高い疎水性を示し、 この部分が細胞膜を一介貫通している領域と考えられた。このGC-Cの細胞内領域は心房性ナトリウム利尿ペプチドの受容体として知られる他の膜結合型グアニル酸シクラーゼGC-AやGC-Bと相同性が高く、GC-Cに於いてもNー末端側の細胞外に分布するリガンド結合領域、膜貫通領域、チロシンキナーゼ様領域、グアニル酸シクラーゼ活性領域の4つの領域に機能分けされつと推察された。特にGC-CのC末端部分の60残基のアミノ酸の内約20%がSerとGlnである構造上の特徴を有していた。 ブタGC-CとラットGC-C及びヒトGC-Cのアミノ酸配列の相同性は、それぞれ82%、87%であった。Nー末端側の細胞外領域に於いては71%、76%、Cー末端側の細胞内領域に於いては90%、95%であり、細胞外領域に比べ細胞内領域の相同性が極めて高いことが判った。現在ブタGC-Cのデリージョンミュウタントを作製し、STとの結合部位を調べている。
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