エルトールcytolysinのPro領域の機能解析

1993 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 04670246
• 研究機関: 大阪大学
• 研究代表者: 山本 耕一郎 大阪大学, 微生物病研究所, 助教授 (30158274)
• 研究分担者: 余 明順 大阪大学, 微生物病研究所, 助手 (70093482) ; 本田 武司 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (60029808)
• キーワード: コレラ菌 / 溶血毒 / 遺伝子 / DNA配列 / 変異 / タンパク毒素 / 相同組換 / 分泌

研究概要

1。hlyAのPre-Pro領域間、およびPro-M領域間にsite-directed mutagenesis法でBalI部位を導入し、BalIで切断しPro領域のDNAを欠失させた。
2。Pro欠失遺伝子をスーサイド・ベクターに導入し、もとのコレラ菌の染色体DNAに挿入し、正常遺伝子hlyAがPro欠失遺伝子に置換したコレラ菌を分離した。
3。得られたPro領域欠失hlyAコレラ菌の発育は野生型と変化なかったが溶血性は著しく低下していた。
4。遺伝子産物がどの様に産生分泌されるかを菌体内、ペリプラズム、培養上清分画に分けウエスタンブロッティング法で調べたところ、培養上清中には殆どcytolysinが見いだされなかったが、ペリプラズマ中には分解された抗原が多量に存在した。
5。これらのことからPro領域はcytolysinが活性をもった形で分泌産生されるために必須の領域であることが証明された。また、ペリプラズマ中に分解物が多量に存在していたことから,Pro領域はprotoxinの安定性にも関与していることが示唆された。

研究成果

• [文献書誌] Miyagi,K.et al.: "Cholera diagnosed ub clinical laboratory by DNAhybridizat" Lancet. 339. 989 (1992)
• [文献書誌] Yamamoto,K.et al.: "Enzyme-labeled oligonucleotide probes for detection for genes for thermostable direct hemolysin (TDH)...." Can.J.Microbiol.38. 410-416 (1992)
• [文献書誌] Yoh,M.et al.: "Development of an enzyme-labeled oligonucleotide probe for the cholera toxin gene." J.Clin.Microbiol.31. 1312-1314 (1993)
• [文献書誌] Shinagawa,H.et al.: "Cloning of the genes that control formation of the fimbrial colonization factor antigen III(CFA/III)...." Microbiol.Immunol.37. 689-694 (1993)
• [文献書誌] Iida,T.et al.: "Cholera isolates in relation to the “eight pandemic"." Lancet. 342. 926 (1993)
• [文献書誌] Xu,M.et al.: "Demonstration and characterization of simultaeous production of a thermostable direct heameolysin...." Infect.Immun.62. 166-171 (1994)
• [文献書誌] 山本耕一郎,本田武司: "ビブリオ属の病原遺伝子(分担)「微生物学の新しい展開1993」" 菜根出版(東京), 16 (1993)