研究概要 |
本研究は、世界中で広く用いられてきたBCG生ワクチンに様々な難病の抗原タンパク質遺伝子を移入し、新しい有用な組換えBCGワクチンを開発することを目的としている。既にM.kansasiiの菌体外分泌タンパク質であるα-抗原の遺伝子に、エイズgagタンパク質p17のエピトープを繋いでBCG菌に入れ発現させることに成功している。 エイズに続いてマラリアの抗原タンパク質遺伝子を含む組換えBCG菌を作るため、マラリアCSタンパク質のcytotoxic T cellエピトープのアミノ酸配列から短いDNA断片を合成した。これをMPB64タンパク質遺伝子のC末端につなぎBCG菌に移入した。このように構築された遺伝子がBCG菌内で発現していることを、培養上清を調べfusion proteinの存在を明らかにすることによって確認した。更に、この組換えBVG菌をマウスに接種し,T-cellの活性化を調べたところ賦活化は見られなかった。現在その原因を追究しているところである。 より効率的な発現系を開発するため,BCG菌Tokyo株において大量に分泌されるMPB70遺伝子の発現機構を解明している.MPB70をよく発現するBCGTokyo株のMPB70遺伝子の上流域を調べる目的で、制限酵素KpnIを処理して上流域1.6kbを含むDNA断片を得た。これを1baseずつずれた3種類の発現ベクターにつなぎ,MPB70タンパク質の発現を調べたところ、発現を確認した。現在更に短くしたものを作製中である。 MPT63タンパク質のN-末端のアミノ酸配列からの短いDNAを合成し,これをprobeにして結核菌DNAからその遺伝子をクローニングを試みている。
|