研究概要 |
マウス腸管上皮細胞(IEL)とBW_<5147>のハイブリドーマから選択したグランザイムA産生株は、コレラ毒素(CT)や大腸菌易熱性下痢原因毒素の存在下で培養すると増殖が抑制されると共にグランザイムA活性が低下することが従来の研究から明らかにされた。これらの成果を基にして、今年度は次の2点について研究を行い以下の結果を得た。 1.コレラ毒素(CT)経口投与マウスの腸管Tリンパ球のグランザイムA活性:CTを経口投与したマウスのIELの回収率は対照に比較して細胞数に変化はなかったが、グランザイムA活性は対照と比較して低下していた。投与後経時的にグランザイム活性を定量すると、投与後24時間から低下しはじめ、72-96時間で対照の1/3-1/2に減少した。5日目以降から回復しはじめ、7日目では正常値になった。基底膜層Tリンパ球のグランザイムA活性はIELの約1/10であるが、毒素の経口投与でIELと同様にグランザイムA活性は低下した。毒素投与後3,5,7日目のIELの表面抗原をflow cytometryにて解析した。3日目では変化はないが、5日目ではCD_8陽性細胞が減少しはじめ、同時にCD_4陽性細胞の増加が認められた。特にCD_8、γδ陽性の細胞が減少していた。しかし、グランザイムA活性の低下とCD_8陽性細胞数は必ずしも平行せず、時間的にも一致しなかった。 2.IELの細胞障害活性:CT投与マウスのIELの細胞障害活性を対照と比較した。抗CD_3抗体で前処理したP_<815>を標的細胞として用いた時の対照IELの細胞障害活性を100とするとCT投与マウスの活性は約70で抵下傾向にあったものの、必ずしもグランザイムA活性とは平行しなかった。
|