研究概要 |
マウス腸管上皮内リンパ球(iIEL)のgranzyme Aに関する平成4年度の研究成果をふまえ、今年度は次の2項目について研究した。 1.Granzyme A-ペプチド抗体の同定とその作用 (1),CTL Granzyme Aのペプチド(146位-158位)に対する抗体を作成し、そのiIEL-granzyme Aとの反応性を検討した。ペプチド抗体はELISA法でgranzyme Aと反応するが、マウス血清やトリプシンとは反応しない。(2),Western blottingでiIELから精製したgranzyme Aのdimerとは反応するが還元granzyme Aとは反応しなかった。またこの抗体を用いて、[^3H]-DFP標識のiIEL-lysateを免疫沈降することにより、分子量約60Kdの標識蛋白がこの抗体と反応することをを証明した。(3),本ペプチド抗体は精製granzyme AのBLTに対するエステラーゼ活性ならびに、iIELのP815に対する細胞障害活性を阻害しなかった。 2.iIELの細胞障害作用 iIELを培養すると、24時間以内に約50%の細胞が死滅し、特に細胞質内顆粒をもつiIELが減少し全集団のグランザイムA活性が著しく低下する。このことはiIELは集団内の他の細胞を攻撃する結果ではないかと考え、蛍光色素標識(PKH2)株化細胞を標的としてiIELの細胞障害作用を調べた。 (1),P815を標的細胞に用いた場合、CD3-redirected cell lysisに比べて、direct lysisは殆どみられない。(2),BW5147,BW5147とiIELのhybridoma3株(49D4,30E3,14B7)を標的細胞に用いた場合、すべての株化細胞に対してiIELは強い細胞障害活性を示した(E/T:10/1=〜35%、E/T:25/1=>60%)。このことはiIELのNK活性はT cellに対してより強く表現されていることを示唆するものである。
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