研究課題/領域番号 |
04670264
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研究機関 | 国立公衆衛生院 |
研究代表者 |
牧野 壮一 国立公衆衛生院, 衛生獣医学部, 厚生技官室長 (30181621)
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研究分担者 |
大塚 佑子 国立公衆衛生院, 衛生獣医学部, 厚生技官主任研究官
丸山 務 国立公衆衛生院, 衛生獣医学部, 厚生技官部長 (50239159)
岡田 由美子 国立公衆衛生院, 衛生獣医学部, 厚生技官研究官 (50232137)
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キーワード | 炭疽菌 / 病原性 / 莢膜 / 炭酸ガス / 転写 |
研究概要 |
炭疽菌は、生体内で菌体周囲に病原因子の一つである莢膜を形成し、生体防御機構から自らを守る。人工的には、20-50%CO_2存在下で観察できる。炭疽菌と生体防御との関係を明かにするために、CO_2濃度と莢膜形成について、以下の研究を行なった。 1.莢膜形成に必須の領域(cap領域)の特異性:cap領域内の塩基配列から、サザン法及びPCR法を利用して、cap領域は炭疽菌特異的な配列であることを明かにし、食肉検査所等での検査法、不顕性感染や環境汚染の調査に応用可能であることを示した(本年度発表)。 2.cap領域の炭酸ガスによる発現制御機構の解析:cap領域は、3っのシストロン(capA,capB,capC)より成り、CO_2に依存して発現し、転写レベルで制御を受けていた(ノザーン法とS1マッピング法による)。更にこの発現は、単一のプロモーターから同一方向に転写されていた(Primer extension法による)(以上投稿予定)。 3.新しい遺伝子dep遺伝子の同定:上記の研究中に、cap領域の下流に莢膜形成に関係した新しい遺伝子が見いだされた。この遺伝子は、高分子量の莢膜ポリペプチドを低分子化し、菌体外へ拡散させる働きをもつ。この遺伝子をdep(=depolymerization of capsular polymer)と名付け、遺伝解析を行なった(現在投稿中)。 4.dep遺伝子と生体防御機構との関係:挿入不括化法により作成されたDep変異炭疽菌は、マウスへの病原性が野生株より低下していた。このことは、拡散された低分子の莢膜が、生体防御に対して重要な働きをしていることが示唆された(現在検討中)。 5.dep遺伝子の発現制御:dep遺伝子は、cap領域と同一のオペロンとして、CO_2により同じ制御を受けていた。このことは生体内で、両遺伝領域があたかも一つのシステムとして働いていることを示唆している(投稿予定)。
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