研究概要 |
インターフェロン(IFN)系の転写制御因子IRF-1,IRF-2がそれぞれ癌抑制遺伝子、癌遺伝子として機能することをNIH3T3を用いて明らかにした。またヒトIRF-1、IRF-2遺伝子がそれぞれ5q31.1、4q35.1にマップされ、さらにIRF-2遺伝子の発現がIRF-1によって制御されることからIRFを中心とした遺伝子制御ネットワークが存在することを明らかにした。また、IRF-1ないしIRF-2遺伝子欠損マウスの作製に成功し、IRF-1欠損マウスの胎児線維芽細胞で二重鎖RNA刺激でのIFN-α,-βの発現が低下することを見いだした。しかし、ウイルス感染時では変化はなく、IFN-β処理によるIFN誘導遺伝子(PKR,1-8,2'-5'オリゴA合成酵素遺伝子)の発現にも変化が見られなかった。一方、IRF-1欠損マウスのマクロファージでのIFN-γによる一酸化窒素(NO)の産生、誘導型NO合成酵素(iNOS)遺伝子の発現誘導がみられず、iNOS遺伝子の発現は特にIRF-1に依存している事を見いだした。以上より、IFNシステムにおけるIRFの重要性と共にredundancyが存在することを明らかにした。
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