研究課題/領域番号 |
04670288
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
免疫学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
原田 久士 大阪大学, 細胞生体工学センター, 助手 (10222233)
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研究分担者 |
田中 信之 大阪大学, 細胞生体工学センター, 講師 (80222115)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1994
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キーワード | インターフェロン / IRF-1 / IRF-2 / 遺伝子ノックアウトマウス / 誘導型NO合成酵素 / 遺伝子ネットワーク / leukemia |
研究概要 |
われわれが遺伝子クローニングに成功した転写制御因子IRF-1、IRF-2は、細胞増殖制御及び細胞分化において生理活性を示すインターフェロン(IFN)系の発現およびその作用を担う正および負の転写因子である。そこで本研究はこの2つの因子を通して細胞増殖制御の分子メカニズムの一端を明らかにすることを目的に行われた。その結果、 (1)転写制御因子IRF-1、IRF-2はそれぞれ癌抑制遺伝子、癌遺伝子として機能しうる。 (2)IRF-2プロモーターにIRF結合配列が存在し、IRF-1によって発現誘導されることからIRF間の発現調節機構の1つであると推測される。 IRF-1遺伝子欠損線維芽細胞を用い、IRF-1が活性型ras遺伝子と協調して癌抑制遺伝子として機能すること、IRF-1がアポトーシスに関与することがわかり、細胞増殖と細胞死に重要な役割を果たすことが明らかとなった。さらにIRF-1遺伝子欠損細胞で抗ウイルス作用の低下がみられ、この低下はウイルスの種類によってその程度が異なることが明らかとなった。すなわちIRFが生体防御に重要な役割を果たすことを明らかにするとともにIFNによる抗ウイルス作用にはウイルスの種類によって異なった遺伝子が必要であることを示唆した。 ヒトIRF-1遺伝子は染色体5q31.1にマップされた。そこで5qに異常のある白血病やMDS患者13例のDNAを用いて、IRF-1近傍の遺伝子の欠損を調べるとIRF-1遺伝子のみが一致して欠失していた。またヒトIRF-1にはalternative splicingによるDNA結合領域欠失変異体が存在し、この変異体には癌抑制能がなかった。そこでDNA解析とは異なったMDS患者のmRNAを調べると、約20%で正常mRNAがほとんど検出されず、癌抑制遺伝子の新たな不活性化の機構が推測された。
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