食物連鎖を介して母親体内に蓄積し、母乳中にも含まれているポリ塩化ジベンゾフラン(PCDFs)の乳幼仔へ及ぼす影響を検討している。胎仔期・乳仔期にPCDFsの暴露を受けた群ではIgG抗体産生に関わるT細胞の機能(T細胞のhelper活性)が生後4週齢でも8週齢でもともに対照群の30〜50%に抑制され、IgG抗体生産が長期間低下することを明かにしてきた。このようにIgG抗体産生の抑制されたマウスではIgGサブクラスの産生比にどのような影響が見られるかを次のようにして解析している。まず初めに、母親となるマウスにPCDFsの0.1μgと1μgをそれぞれ5回づつ投与した後、3週後にDNP-KLHで抗原一次刺激し3週後に同抗原で二次刺激した後に血清を採取し産生されているIgG抗体のサブクラスの構成比をELISA法を用いて測定した。その結果PCDFs投与群のサブクラスの構成比と対照群のサブクラスの構成比には有意な差は観察されなかった。 従ってこの投与量では母親マウスのIgG抗体のサブクラスの構成比には影響を及ぼさないことが示唆された。次に、母親となるマウスにPCDFsの0.1μgと1μgをそれぞれ5回づつ投与して後、3週後に正常雄と交配した生まれた仔の生後4週齢および8週齢時に抗原刺激した産生されるIgG抗体のサブクラスの構成比をELISA法を用いて測定したところ、PCDFsの0.1μgを5回投与した母親より生まれた仔の群のIgGサブクラスの構成比と対照群のサブクラスの構成比との間には有意な差は観察されなかった。しかし、PCDFsの1μgを5回投与した母親より生まれた仔のIgGサブクラスの構成比には変化が生じているのではないかと考えられる成績が得られた。現在さらに詳しく解析する準備を整えているところである。
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