平成4年度は、既存の月次データの分析を中心に行った。 約36年間(29歳から65歳)にわたって体重や血圧を毎月測定したデータを様々な時系列解析の手法で分析した。まずは、従来発育などでも使われてきたセンサス局法という手法を用いた。このセンサス局法は、原データを傾向成分、季節成分、不規則成分に分解する手法である。 その結果、体重や血圧の毎月の原データの測定値は、細かな変動を繰り返していたが、長期的な変動を示す傾向成分においても、加齢とともに大きな波動を繰り返しており、体重では波動しながら50歳頃まで増加し、その後60歳頃までは減少、65歳まで再び増加していた。さらに、この波動についての検討を試みた。まずこの波動に周期性があるかどうかスペクトル解析を用いて検討した。その結果、体重では、29歳から40歳頃までは約20ヶ月程度の周期をもって変動していることがわかった。また、45歳から65歳までは、約40ヶ月程度の周期が存在した。ただし、この周期の示す意味については、さらに検討を要する。また、季節成分については、従来、体重は一般に秋から冬に増加するといわれてきたが、必ずしもそうではなく、年齢によっては夏に増加することもあり、加齢により季節変動のパターンが変化していくことがわかった。 さらに、統計数理研究所で新たに開発されたDECOMPという時系列解析プログラムでの解析も試みたが、それによると加齢とともにみられる波動は自己回帰(AR)式により、表現できる可能性も示唆された。 一方、従来から行ってきた成人についての月1回の身体計測(体重、皮下脂肪、除脂肪体重などの測定)も継続して行った。
|