平成5年度も、既存の月次データの分析を中心に行った。 約36年間(29歳から65歳)にわたって体重や血圧等を毎月測定したデータを様々な時系列解析の手法で分析を試みた。昨年度は、従来経済統計などでも使われてきたセンサス局法という手法を用いて分析した。このセンサス局法は、原データを傾向成分、季節成分、不規則成分に分解する手法である。その結果、たとえば体重は50歳頃までは加齢とともに増加しているが、この間長期的な変動を示す傾向成分では、大きな波動を繰り返していることがわかった。 今年度は、統計数理研究所で開発されたDECOMPという時系列解析プログラムでの解析を試みた。このDECOMPという時系列解析のプログラムは、原データをトレンド成分、自己回帰(Auto Regerssive)成分、季節成分、不規則成分に分解することができるプログラムである。このプログラムにより、センサス局法の傾向成分でみられた波動をトレンド成分と自己回帰成分にわけて考えることが可能であり、さらにどのようなモデルが最もよくあてはまるかをAIC(赤池情報量基準)という指標を用いることにより、客観的に評価することができる。その結果、たとえば29歳から39歳までの体重の変化は、加齢とともに増加するトレンド成分で表現できるが、この間にみられる波動は、y(n)=0.91y(n-1)+0.59y(n-2)-0.63y(n-3)のような自己回帰式(y(n);ある月の値y(n-1)〜y(n-3);その1カ月〜3カ月前の値)が最もこの時期の波動を表現できることが示唆された。 一方、従来から行ってきた成人についての月1回の身体計測(体重、皮下脂肪、除脂肪体重などの測定)も、継続して行った。
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