従来は、29歳から65歳まで約36年間にわたり、毎月測定した体重や血圧のデータを時系列解析のセンサス局法で分析した結果、長期的変動を示す傾向成分では、加齢とともに大きな波動を繰り返していくことがわかった。今回は、その波動をスペクトル解析を行い、周期性を検討した。その結果、体重で20カ月など1年以上の長い周期が観察された。このような周期は、原データをスペクトル解析しても観測され、さらに他の被検者についても観測されていることより、体重は1年以上の周期の波動をしながら加齢とともに変化していくのではないかと思われた。 さらに昨年に引き続き、同じデータを統計数理研究所で開発されたDECOMPという時系列解析プログラムで解析を試みた。その結果、若い年齢では体重と収縮期血圧は4次の自己回帰式が最もよくあてはまったが、高齢になると自己回帰の次数が1次あるいは2次となり、若い年齢ではある月の体重や収縮期血圧の値はその4カ月前までの値により説明されるが、高齢になるにつれ、1、2カ月前の値により説明されることになり、高齢になると数カ月前の値よりはその他の要因が関係しているのではないかと思われた。 また、体重と血圧以外に、体温、血液(赤血球数、ヘモグロビン、ヘマトクリット)のデータも、センサス局法で解析を行った。その結果、体温や血液は、加齢による大きな値の変化は見られなかったが、やはり傾向成分は1年以上の周期の波動を持って変動していることがうかがえた。 ヘモグロビンやヘマトクリットでは冬に高く、夏に低い季節変動がみられた。体重や血圧、体温の季節変動は、年齢により変化しており、例えば体重では若いときは夏に高い値を示し、高齢になるにつれ、冬に高い値を示す被検者がいたり、血圧も年齢により、必ずしも冬季が高いわけではないなど個人を長期に毎月測定することにより、今までと異なる季節変動の傾向が把握できた。
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