研究概要 |
我々は運動習慣,血圧,血清総コレステロール濃度,血清GOT・GPT異常と死亡率との関連を調査するために,鳥取県の一建康増進センターにて健康診断を受診した35歳から69歳の男女6440人のコホートと,その後の11.8年の死亡の追跡のデータを用いたコホート研究を行った.単変量解析として,各変数のカテゴリーごとに標準化率比が計算された.そして多変量解析として,baselineにおける年齢,性,運動習慣,血圧,body mass index,%肺活量,血清総コレステロール濃度,血清GOT・GPT異常を独立変数として,Coxの比例ハザードモデルよりハザード比が計算された.その結果,年齢と性の因子の他に,高血圧,低血清総コレステロール濃度,血清GOT・GPT異常が総死亡のリスクを上昇させるのに寄与していることが認められた.さらに,高血圧は循環器疾患死亡,特に男性の脳出血と脳梗塞,女性の心疾患死亡のリスクの上昇と関連し,血清GOT・GPT異常は肝障害,肝癌,脳出血死亡のリスクの上昇と関連していた.運動習慣は悪性新生物死亡のリスクの低下と境界的有意性をもって関連していたので,それが,運動習慣を有する男性の総死亡率が低値を示したことの理由を示唆するものと思われた.
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