研究概要 |
近年、超電導技術の開発・応用が進み、また一般家庭における多くの家電製品の使用など、職業的にも家庭においても高定常磁場や交流磁場に曝露する機会が増加している。疫学調査でも高圧線下の居住者や電気関係従業者達に白血病が高いとの報告もある。従って磁場の生体影響を明らかにする必要がある。 我々は,4.7テスラ(47、000ガウス)の高磁場にマウスを全身曝露し、0、5、1、3、6、24、72時間の各時間毎に血液を採取し、血清中のトランスアミナーゼ(GOT、GPT)、脂質(コレステロール、トリグリセライド)等の項目について検討した。その結果、乳酸脱水酵素(LDH)の値が上昇すること。しかも曝露後6時間目でピークを示すことを観察した。この原因として、赤血球の破壊を示唆するアイソザイムの変化が認められた。一方、高磁場の染色体への作用を調べるため、動物に白血病を誘発させるジメチルベンズ(a)アントラセン(DMBA)、ジエチルニトロソ尿素(DENU)、フッ化ナトリウム(NaF)、マイトマイシンC(MMC)をマウスに投与し、同時に磁場曝露したところ、染色体異常の指標に用いた骨髄赤芽球細胞での小核の出現頻度が、MMC、DENU、NaFで増加傾向を示した。しかしDMBAでは抑制作用を認めた。さらに、マウスの高磁場全身曝露による肝臓における薬物代謝酵素系への影響をみるため、アニリン脱水酵素およびエトキシクマリンデェチラーゼの活性の検討を行っている。
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