PCR法による単一遺伝子座位VNTRの多型性の検出について、Richardらの報告した第4染色体の繰返し配列(YNZ32)およビScharfらの報告したhumanretinoblastoma geneに存在する繰返し配列について検討を行った。YNZ32領域についてRichardらの原法をもとに、反応液の組成(MgCl_2濃度、gela-tin濃度、genomic template量)・アニーリング温度を、human retino-blastoma gene内の繰返し配列の増幅については主にgenomic template量・増幅回数を検討し、増幅に適する条件を設定した。この2領域の日本人集団における多型性の検討を行う予定である。 日本人集団について有用であるMCT118領域のPCR法について、Poly-acrylamide gelとNusieve agarose gelによる泳動結果を比較し、両者に泳動のずれが生じる場合があることを確認した。目下、サイズマーカー、泳動温度等について検討を加えている。 ヒトinsulin遺伝子、ヒトalha globin遺伝子近傍に存在する高多型性領域のPCR法による検出について検討を試みた。ヒトinsulin遺伝子の3'flanking領域および第16染色体に存在するヒトalha globin遺伝子のzeta-psizeta intergenic領域に存在する繰返し配列による多型性を検出することを目的とし、この領域を挟むプライマーを各数種類ずつ設計・合成しPCR法を行ったが、増幅産物の泳動像はラダー状を呈し、より特異的なプライマーの設計や反応条件等の検討が必要である。 PCR法により増幅した多型性部位の塩基配列決定は、従来のRIを用いる方法に較べ、螢光色素を用いる方法が簡便であり、多検体を同時に処理できる利点がある。現在、DNAシーケンサーを用いた塩基配列決定法について、VNTR多型・STR多型を中心に検討を始めている。
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