研究課題/領域番号 |
04670360
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
森田 匡彦 札幌医科大学, 医学部, 教授 (00045353)
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研究分担者 |
池田 卓也 バイエル薬品, 薬理学研究所, 研究員 (10222887)
安積 順一 札幌医科大学, 医学部, 講師 (00045551)
舟山 眞人 札幌医科大学, 医学部, 助教授 (40190128)
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キーワード | 熱ショック蛋白質 / ユビキチン / 司法解剖 / 免疫組織化学 / 頸部圧迫 / 損傷 |
研究概要 |
頸部圧迫や損傷死体において、抗ユビキチン抗体を用いた免疫組織化学染色を試みたところ、熱刺激を受けていない死体の肝細胞核内に、ユビキチンの証明された例がいくつか存在した。抗ユビキチン抗体のうち、ポリクローナル抗体では比較的多数の症例で陽性反応がみられたことから、非特異的反応の影響を除くため、同じ症例でモノクローナル抗体についても試みた。その結果、頸部圧迫群でその半数に陽性反応を認めたが、圧迫の手段や死体所見からは陰性例とに違いを見出すことはできなかった。失血死ではモノクローナル抗体に対し8例中弱陽性3例があったに過ぎない。但し、陰性例が心臓や頸動脈損傷など、極めて短時間で死亡したと思われる例であるのに対して、頭部外傷を伴っていた小児例を除く陽性例2例はいずれも受傷後死亡までに数十分以上を経過したと思われる例であった。また、頭部損傷群でも、受傷から死亡までの具体的な経過時間は不明であるが、脳挫傷自体はあまり高度ではなく脳ヘルニアが死因となるような状態、即ち受傷から死亡までの経過時間が比較的長いと思われた例で陽性に染色された。 ところで受傷から死亡まで数時間以上の、いわゆる臨床上あるいは剖検上『ショック』と診断できるようなケースでは、ポリクローナル抗体でもユビキチンの反応は陰性か極めて弱かった。このような例では、当初からユビキチンの誘導が少ないのか、一旦核内に移動あるいは生成された後、再び消失したのかは不明である。いずれにせよ、ショック蛋白質とう名はつけられているものの、同蛋白質の出現はあくまでも細胞レベルでの反応結果としてであり、個体レベルでの『ショック』とは直接関係なく、この点、剖検例にHSPを利用するにあたり注意が必要であろう。
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