研究課題/領域番号 |
04670366
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
北 敏郎 産業医科大学, 医学部, 助教授 (00131912)
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研究分担者 |
田中 敏子 産業医科大学, 医学部, 助手 (80141745)
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キーワード | Tourniquet Shock / Peptide Leukotriene / Kidney / Immunocytochemical Localization |
研究概要 |
緊縛性ショックにおいて生じる腎障害増悪の因子として報告されているケミカル・メディエーターのうち、ペプチドロイコトリエンの腎臓に与える影響を検討した。実験動物としてウサギを用い、緊縛条件は大腿部に乳児用駆血帯を550mmHgで加圧し5時間緊縛直後群(A群)、緊縛解除後3時間放置群(B群)、緊縛解除後6時間放置群(C群)とし、その他負荷を加えない対照群をもうけ検討した。その結果、血清中のCPKは緊縛開放直後から、BUNはB群およびC群で経時的な増加が認められた。血液中のロイコトリエンは、直後では増加が認められなかったが、B群およびC群ではともに増加が認められた。緊縛部位の筋肉中ロイコトリエンは、緊縛開放直後から負荷群すべてに有意に増加が認められた。形態的な変化としてA群では、腎臓の尿細管および糸球体に変化は認められなかった。B群では腎臓の毛細血管の血管内皮細胞で、時に浮腫および空胞変性が認められた。また近位尿細管においても浮腫および空胞変性が時に認められ、対照群と比較してライソゾームの増加が認められた。C群では上記の変化が頻繁に観察されたが、いずれの実験群でも糸球体には変性は認められなかった。免疫組織学的な所見として、マクロファージ、白血球および緊縛部位骨格筋の線維芽細胞のライソゾームでLTC4/D4の反応陽性が、緊縛開放直後から負荷群すべてに認められた。さらにB群およびC群で、腎臓毛細血管の血管内皮細胞表面および尿細管のライソゾームで反応陽性が認められた。 今回われわれの緊縛条件で、緊縛開放3時間後から緊縛部位の骨格筋の線維芽細胞および炎症性細胞からLTが産生放出されることが明らかとなった。また緊縛開放3時間後から腎障害の発生が、生化学的(BUN上昇)および形態学的(血管内皮細胞および近位尿細管における浮腫を主体にした障害像)に認められた。これら浮腫を主体とした障害が、緊縛部位の骨格筋および炎症性細胞由来のペプチドロイコトリエンにより発生した可能性が示唆された。
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