1.強皮症患者単球・好中球によるロイコトリエンB_4(LTB_4)産生能に及ぼすエンドセリン1(ET-1)の影響の検討 方法:比重遠心法を用いて、末梢血単球と好中球を分離した。PBSに浮遊させた単球・好中球(1x10^6)を、2μMのA23187単独で、又はET-1(10^<-8>M-10^<-6>M)と共にインキュベートし、上清中のLTB_4濃度をラジオインムノアッセイで測定した。 結果:単球はA23187で処理すると、LTB_4を産生した。この産生能は10^<-8>M-10^<-6>MのET-1を添加することにより、さらに増強した。好中球による産生能も、単球の場合と同様に、ET-1で増強された。強皮症患者単球(n=9)及び好中球(n=10)による産生能は健常人より低下していた。 2.強皮症患者好中球-内皮細胞付着反応に及ぼすET-1の影響の検討 方法:ヒト臍帯静脈から分離した内皮細胞を、血管内皮細胞増殖培地に浮遊させ培養し、コンフルエントな内皮細胞の単層を得た。培地に浮遊させた好中球を3.7MBq/mlの^<51>Cr-クロミウム酸ナトリウムでラベルし、細胞を1x10^6/mlに調整した。培地に浮遊させた^<51>Crラベルの好中球を、内皮細胞(1x10^5/ml)を含むウエルに添加後インキュベートし、好中球-内皮細胞付着反応の系とした。実験により、10^<-8>M-10^<-6>MのET-1又はLTB_4を添加した。内皮細胞の単層を溶解し、溶解した細胞を取り、その放射活性をガンマカウンターで測定した。 結果:LTB_4は、健常人由来及び強皮症患者(n=5)由来の好中球と内皮細胞の付着反応を増強した。ET-1は、健常人由来及び強皮症患者(n=5)由来の好中球と内皮細胞の付着反応に対して、何等の影響も及ぼさなかった。 以上より、ET-1は炎症反応に直接は関与していていないと考えられた。
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