研究課題
一般研究(C)
慢性腎不全透析患者では活性型ビタミンDの産生の低下とともに活性型ビタミンDに対する抵抗性が知られている。この抵抗性の本態は副甲状腺における活性型ビタミンD受容体の減少が主因と考えられているが、現在のところ人及び動物モデルで相反する結果が示されており議論の多いところである。我々は二次性副甲状腺機能亢進症のための副甲状腺摘出術により得られた人の組織を用いて、ビタミンD受容体に対する特異的抗体により免疫組織染色を行い上記の問題に検討を加えた。その結果、二次性副甲状腺機能亢進症の副甲状腺組織を瀰漫性増殖と結節性増殖に分類した場合、後者でよりビタミンD受容体の減少が顕著であることが示され、更に副甲状腺重量とビタミンD受容体密度の間に負の相関が存在することが見いだされた。したがって透析患者の二次性副甲状腺機能亢進症における活性型ビタミンDに対する抵抗性はビタミンD受容体の減少が源因であり、増殖した副甲状腺の形態によってビタミンD受容体の減少に差があることが示された。この増殖形態の差によるビタミンD受容体の減少差が今までの報告の不一致の原因と考えられた。いっぽう腎不全ラットを作製し二次性副甲状腺機能亢進症に対する食事中のリンの影響を検討した。その結果、0.3%以下の低リン食では血清カルシウム、リン及び活性型ビタミンD濃度に変化がみられないにもかかわらず血中PTHおよび副甲状腺組織中のPTHmRNAの発現量が正常対象群のレベルまで抑制されることが示され、リンの二次性副甲状腺機能亢進症に対する直接的な作用が証明された。
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