研究概要 |
(1)RT-PCRの方法による微量の検体からのmRNAの定量化の確立:先にmicrodissectionとRT-PCR法によりPAF受容体mRNA発現のネフロン内分布を見たが,さらに各種疾患モデルでのmRNA発現の変化を解析するため,RT-PCR法によるmRNAの定量化の方法を検討した.これまで報告のあるcompetitive PCRの方法などを試みたが,微量の検体を扱う我々の系への応用は困難であった.そこで,検体に含まれるゲノムDNAを量的対照とする方法を新たに開発し,microdissectionした検体でもmRNAの定量的な検討が可能となった. (2)PAF受容体に対する単クローン抗体の作成:PAF受容体の一部のアミノ酸配列に対し合成ペプチドを作成しこれに対する単クローン抗体の作成を試み,ほぼ成功した. (3)腎由来の各種培養細胞系でのPAF受容体mRNAの発現およびPAFの作用の解析:腎由来の培養細胞系賭してLLCPK1細胞,MDCK細胞についてNortherm blottingの方法でPAF受容体のmRNAの発現を見たが,LLCPK1細胞では多量の発現が見られた.また同細胞ではPAF投与により細胞内カルシウムの上昇が見られた.一方,MDCK細胞では受容体mRNAの発現はわずかで,PAF投与による細胞内カルシウムの上昇も見られなかった. (4)単離尿細管輸送に対するPAFの影響:先に述べたようにPAF受容体mRNAの発現が近位尿細道に見られたため単離した近位尿細管の還流実験でPAFのC1およびHCO3の輸送に対する影響を見たが,これらへの影響は見られなかった.
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