研究概要 |
リコンビナントKi抗原(bNAX)を用いた抗Ki抗体測定系を確立し、250例のSLEから抗Ki抗体陽性例を49例抽出した。この49例とhomologyを認めるアミノ酸配列を含む合成ペプチド、KI-LTとの反応性をELISAにて検討し、約40%の血清が反応することを明かにした。抗Ki血清のKI-LTとbNAXへの反応性をELISAにて比較すると有意に相関した。また、抗Ki血清のKI-LTへの反応はSV40 large T antigen nuclear localization signと同一のアミノ酸配列を有す合成ペプチド、LT-SPにて特異的に抑制された。また、KI-LTに反応を示す抗Ki血清は高率にLT-SPに反応した。このLT-SPに対する反応はKI-LTで特異的に抑制された。リコンビナント抗原および合成ペプチドを用いた以上の検討でKi抗原上のSV40large T antigen nuclear localization signとhomologyを認めるアミノ酸配列が抗Ki抗体にepitopeとして認識されていることが明らかとなった。平成5年度は,このKi抗原とSV40large T antigenの交叉反応性を確認する目的で,SV40にてtrasformされたgolden hamster embryonic fibroblastの培養細胞よりSV40large T antigenを抽出し,イムノブロット法にて抗Ki抗体陽性のSLE血清との反応性を検討した。抽出されたSV40large T抗原に対してマウス抗SV40 large T抗原モノクローナル抗体は特異的に反応した。また,抗Ki抗体陽性でKI-LTと反応する血清の一部がSV40large T antigenと反応することも確認された。 これらの結果は抗Ki抗体産生機構におけるウイルス感染の関与を示唆する所見として注目された。
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