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1993 年度 実績報告書

発癌プロモーターによる癌遺伝子癌抑制遺伝子転写促進に対するHBV-X及びHCV遺伝子移入の影響

研究課題

研究課題/領域番号 04670410
研究機関東京大学

研究代表者

金子 義保  東京大学, 医学部(病), 講師 (90124669)

研究分担者 小池 和彦  東京大学, 医学部(病), 助手 (80240703)
中山 利文  東京大学, 医学部(病), 医員 (80150275)
橋本 佳明  東京大学, 医学部(病), 助手 (40172879)
キーワード肝細胞癌 / 肝炎ウィルス / 発癌プロモーター / アポプトーシス / カルシウム / 癌抑制遺伝子
研究概要

発癌プロモーターであるタプシガルジンは肝癌細胞の増殖を抑制し,形態を著明に変化させる。タプシガルジンの存在下で培養した細胞は小型になり核クロマチンも凝集する。数日後にはDNAのフラグメンテーションがおこり,細胞はアポプトーシスにより死滅する。タプシガルジンは小胞体カルシウムATPaseの特異的阻害剤であり,タプシガルジン処理により細胞質カルシウムは急速に増加する。しかしこの増加は一過性でありまもなく細胞質カルシウムはもとのレベルにまで低下する。しかし小胞体カルシウムは減少したままであり,上皮細胞増殖因子(EGF)やバゾプレシンによるカルシウム動員作用も阻止される。タプシガルジンによる小胞体カルシウムの涸渇作用は長時間持続し,このことが核のカルシウムレベルを変化させ,クロマチンの凝集,さらにはDNAの断片化をもたらしアポプトーシスの原因となると考えられる。
タプシガルジンによるアポプトーシスの誘導は,マイトマイシンCやエトポシドとは異なり核内のp53の増加を伴わない。このことはp53に対するp53特異抗体を用いたウエスターンブロッティングとフローサイトメトリーで証明される。この事実から肝癌細胞におけるアポプトーシスの誘導には少なくとも2つの異なる経路の存在が推測された。マイトマイシンCやエトポシドによるアポプトーシスの誘導はP53による細胞周期の遅延あるいはDNAの修復の過程を含むが,タプシガルジンはこのプロセスとは別にクロマチン構造の変化をもたらすと考えられる。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Tsukamoto,A.: "Thapsigargin elevated cytosolic caleium and antagonized vacuole formation of hepatoma cells induced by teleocidin." Cell Biol.Int.Rep.16. 491-492 (1992)

  • [文献書誌] Kaneko,Y.: "Coordinate expression of c-fos,p53 and cytokerdtin genes during induction of hepatoma differentiation.mRNA levels measured by RT-PCR." Cancer Lett. 66. 155-164 (1992)

  • [文献書誌] Tsukamoto,A.: "Thapsigargin enhances c-fos expression but antagonizes vacuole formation of human hepatoma cells induced by teleocidin" Biochim.Biophys.Acta. 1177. 31-36 (1993)

  • [文献書誌] Tsukamoto,A.: "Thapsigargin antagonizes cytokeratin assembly of human hepatoma cells induced by teleocidin" Int.Hepatol.Commun.1. 11-15 (1993)

  • [文献書誌] Kaneko,Y.: "Involvement of down regulation=resistant protein kinaseC activity in teleocidin-inhibition of cell proliferation" Cancer Lett.71. 103-108 (1993)

  • [文献書誌] Tsukamoto,A.: "Thapsigargin depletes intracellular Ca^<2+> pool and induces apoposis in human hepatoma cells." Cell Biol.Int.17. 969-970 (1993)

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公開日: 1995-02-08   更新日: 2016-04-21  

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