研究課題/領域番号 |
04670411
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
橋本 直明 東京大学, 医学部(附属病院), 助手 (00167579)
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研究分担者 |
山田 春木 東京大学, 医学部(附属病院), 助手 (70174729)
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キーワード | 肝類洞内皮細胞 / 血管作動性物質 / 肝細胞増殖 / 増殖調節 / プロスタノイド / プロスタグランディン / 受容体 / エンドセリン |
研究概要 |
血管内皮細胞から各種のmediatorが産生され、平滑筋など周囲の細胞の機能を調節することが、近年明らかにされてきた。肝類洞は、肝細胞と類洞内皮細胞とが、Pisse腔をはさんで向い合う独特の組織構造を有する。研究代表者らは、この構造が肝蔵特有の生命現象である。肝再生を調節するにふさわしい構造であると考え、類洞内皮細胞が産産する血管作動性物質が、肝細胞増殖を調節しているとの仮説を立てた。この仮説の検証を目的として平成4年度に行なった研究のまとめは以下のとおりである。 1).代表的な血管内皮細胞実験系であるウシ大動脈内皮細胞を培養し、細胞外からATP及びLPSで刺激して、血管作動性物質であるエンドセソンとプロスタノイドの産生に及ぼす効果を検討した。その結果、プリン作動性受容体を介した調節機序の存在を明らかにした。 2).次にラット肝臓類洞内皮細胞の初代培養系を確立し、1)と同様に血管作動性物質であるエンドセリンとプロスタノイドの産生をを検討した。その結果エンドセリンの産生が明らかとなり、プリン作動性受容体を介した産生抑制が認められた。一方、プロスタノイドはウシ動脈内皮細胞と異なってPGF_2が主要産物であり、ATP及びLPSによって産生が刺激されることが明らかにされた。 3).一方、ラット肝臓類洞のKupffer細胞を初代培養し、エンドセリン及びプロマタノイドの産生様式の、類洞内皮細胞との違いを明らかにした。肝細胞にはPGE_2の特異的受容体が存在することから、類洞内皮細胞は産生したPGE_2を介して肝細胞の細胞機能を調節している可能性が示された。次年度は他の血管作動性物質の産生調節、及びその物質の肝細胞機能に対する効果を検討する方向で研究を進める考えである。
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