研究概要 |
肝細胞におけけるActivin A受容体の検討ーActivin Aは肝細胞に対して特異的な結合を有するかどうかを検討した。^<125>I-Activin Aを作製し、肝細胞に対する結合を既報の方法で検討すると温度、時間でその結合が変化した。その結合は37℃、60分後で最大値をとることが判明した。特異的な結合が存在することが明らかとなり、そのreplacement curveのED_<50>は10^<-9>Mであった。更にScatchard plotを行なうと高親和性及び低親和性の2種類の因子により構成されることが明らかとなった。他の受容体との異同をみる為に^<125>I-Activin Aの肝細胞との結合をTGF-β、Inhibinが抑制するかどうかをみると、TGFβ及びInhibinはいずれも^<125>I-Activin Aと肝細胞との結合を抑制しなかった。又、逆に^<125>I-TGFβと肝細胞との結合に対してもActivin Aは影響を及ぼさなかった。次に肝細胞におけるActivin Aの情報伝達機構の解明を行なった。以前、Activin Aは肝細胞に作用し、inositol-1,4,5-trisphosphatesを産生し、細胞内Ca^<2+>濃度を上昇させ、その効果を発現することを報告した。通常、肝細胞で inositol-145-trisphosphatesを産生し、細胞内Ca^<2+>濃度を上昇させるものはPertussis Toxin(PTX)に感受性のないG蛋白を介すると言われている。Activin Aについても同様の検討を行なうとActivin Aによるinositol-1、4,5-trisphosphatesの産生及び細胞内Ca^<2+>濃度の上昇はPTXにより、完全に抑制された。このことよりActivin AはArgiotensinII及びバゾプレッシンと同様に、inositol-1,4,5-trisphosphatesを産生する点は共通しているが、これらがGqを介して作用するのに対しPTXに感受性のある情報伝達機構を有していることが判明した。これらの検討により、肝細胞における新しい情報伝達機構があることが明らかとなった。
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