1.方法 C型慢性肝炎の肝組織中におけるHCV RNAの動態ならびに局在を明らかにするため、digoxigenin標識cDNAプローブを用いたin situ hybridization法を施行した。C型慢性肝炎患者血清より総RNAを抽出し、cDNAプールを作成した。このcDNAプールをテンプレートとしてHCVコア領域の部分配列cDNAを得た。このcDNAクローンを用いてPCRを行なう際に、digoxigenin-11-dUTPを一定の割合でdNTP mix中に加えることにより、digoxigenin標識cDNAを得る。C型慢性肝炎患者の肝生検組織標本を急速凍結しクリオスタットで10μ切片作成後、固定し洗滌、脱水後3ng/μlのcDNA濃度で42℃、14〜16時間ハイブリダイゼーションを行なった。洗滌後ブロックを施し、抗digoxigenin抗体で反応させ、NBTとBCIPにて発色反応を行なった。なお内因性のアルカリフォスファターゼはレバミゾールで阻止した。B型慢性肝炎例を対照として検討した。 2.成績 c型慢性肝炎例ではアルカリフォスファターゼ染色の反応産物が肝小葉内に散在性に、あるいはクラスターをなして観察された。高倍率で観察すると、これらの反応産物は肝細胞の主として細胞質内に局在していた。肝細胞以外の細胞内にはかかる反応産物は認められなかった。cDNAプローブと反応させなかった組織切片上にはこれらの反応産物は認めなかった。またB型慢性肝炎例の肝組織にもこれらの反応産物は見られなかった。肝組織をあらかじめ20μg/mlのRNase Hで処理しておくと陽性の反応産物がみられなくなった。
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