1.肝組織中におけるC型肝炎ウイルス関連抗原の検出 (1)C型肝炎ウイルス(HCV)コア抗原の検出 HCV構造遺伝子領域のうちコア領域を大腸菌で発現させて得た220kD(191アミノ酸)のコア蛋白を家兎に免疫してHCVコア抗体を作成した。この抗体を用いて、PLP固定を施したHCV感染患者生検肝組織をPAP法を中心に検索した。その結果、一部の慢性C型肝炎例の肝細胞内にコア抗原の局在を認めた。しかし、この抗原の局在と肝炎の活動性やリンパ球浸潤との間には一定の関連を見出すことはできなかった。 (2)肝組織中のHCVコア抗原と血中HCVサブタイプ 肝組織中におけるコア抗原の局在の有無を検索した12例について、PCR法によりHCVサブタイプを決定し、抗原の局在との関連を検討したが一定の傾向を認めなかった。 2.肝組織中のC型肝炎ウイルスRNAの検出 肝組織中のHCV RNAを検出する目的で、C型慢性肝炎例の生検肝組織を凍結し、digoxigenin標識cDNAプローブを用いたin situ hybridization法を施行した。その結果、C型慢性肝炎例ではアルカリホスファターゼ染色の反応産物が肝小葉内に散在性に、あるいはクラスターをなして観察された。これらの反応産物は肝細胞の主として細胞質内に局在しており、本法によって肝細胞内のHCV遺伝子の検出が可能であることが明らかとなった。なお、cDNAプローブと反応させなかった組織やB型慢性肝炎例ではこの反応産物は認められず、特異的反応と考えられた。
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