研究課題/領域番号 |
04670422
|
研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
杉原 潤一 岐阜大学, 医学部・附属病院, 助手 (70216323)
|
研究分担者 |
村瀬 全彦 岐阜大学, 医学部, 助手 (80221620)
大西 弘生 岐阜大学, 医学部・附属病院, 講師 (40176954)
|
キーワード | 急性肝不全 / 脳浮腫 / 血液脳関門 / マニトール / プロスタグランディン |
研究概要 |
D-ガラクトサミンとエンドトキシンを投与して作製した致死的な急性肝不全モデルを用いて、主として血液脳関門の機能異常の面から脳浮腫の発生機序および治療対策に関し実験的研究を行なった。 1.この急性肝不全モデルでは、肝性脳症の出現とともに脳水分含量の増加、すなわち脳浮腫が認められ、この脳浮腫は肝不全の進行とともに顕著となった。 2.^<14>Cでラベルしたイヌリン(分子量約5,000)を用いて、oldendorfの方法により血液脳関門の物質透過性について検討すると、肝性脳症や脳浮腫の進展と併行して、血液脳関門におけるイヌリンの透過性も亢進しており、血液脳関門の機能的異常が認められた。 3.浸透圧較差を利用し脳浮腫の治療薬として一般的に使用されるマニトールの治療効果を検討した。マニトール投与後には、脳各部位において対照群に比し水分含量の減少が認められたものの、肝性脳症の進行に伴い、除水効果(脳水分含量の減少)は低下した。 4.そこで血液脳関門におけるマニトールの透過性を検討してみると、イヌリンと同様に肝性脳症の進展とともにマニトールの透過性も亢進しており、さらに脳内マニトール濃度を測定すると肝性脳症の進展とともに著増した。このように深昏唾時にはマニトールの脳内移行が亢進するため、脳浮腫に対する治療効果(除水効果)が低下するものと考えられた。 従って急性肝不全における深昏唾時の脳浮腫に対するマニトールの治療効果には限界があるものと考えられ、現在さらにcytoprotection作用を有するとされるプロスタグランディンの脳浮腫に及ぼす効果について検討している。
|