1992 年度実績報告書

老化および消化性潰瘍における消化管組織中プロトンポンプ遺伝子発現に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号	04670423
研究機関	浜松医科大学
研究代表者	金子栄蔵浜松医科大学, 医学部, 教授 (10010414)
研究分担者	鈴木昌文浜松医科大学, 医学部, 助手 (50179256)
キーワード	proton pump, / mRNA, / in situ hybridization / PCR
研究概要	消化性潰瘍の攻撃因子に関与するproton pumpの遺伝子発現を検討することは、その病態を知るうえで重要な意義がある。しかし、従来、内視鏡下生検組織のような微量な臨床検体を用いて遺伝子発現を検討することは困難であった。今回、Polymerase Chain Reaction(PCR)法とin situ hybridization法を用い、proton pump inhibitorであるomeprazoleのproton pump mRNAに対する影響を、胃潰瘍患者の生検胃組織において検討した。 (対象と方法)胃体部小弯の潰瘍のため内視鏡検査を実施した40歳から70歳の男性6例を対象とした。omeprazole20mg/dayの投与前と投与後4週に胃体中部大弯部粘膜を6箇所生検した。4箇所はRNA抽出用溶液に浸し、残りは新鮮凍結とした。生検粘膜組織から、RNAを抽出し、抽出したRNA1μgをDNaseにより、DNAの混入を取り除いた後、逆転写酵素によりcDNAを作成した。proton pumpのN端側のアミノ酸に対応するsenseおよびantisenseのprimerを合成し、作成したcDNAとPCR法を行い、proton pump mRNAを増幅した。細胞の構造蛋白であるβ-actin mRNAを同時に増幅しinternal markerとした。in situ hybridizationは凍結組織を厚さ4μmの切片とし、3'端にalkaline phosphataseをラベルしたDNAプローブとhybridaizationを行った。 (結果)proton pumpとβ-actin mRNAに対応する129塩基対および493塩基対バンド胃潰瘍6例で検出された。β-actin mRNAのバンドで補正した胃体部proton pump mRNA量は、omeprazole投与後1.15±0.184から2.98±1.01(mean±SD)に増加した。in situ hybridizationでは、proton pump mRNAは壁細胞の細胞質に主に染色され、omeprazole投与後濃度が増加しPCR法の成績と良く相関した。 (結論)PCR法とin situ hybridizationを用い、内視鏡下生検ヒト胃体部粘膜組織においてproton pump mRNAを検出した。omeprazole投与により、proton pump遺伝子の発現の増加が認められた。

研究成果

(8件)

すべてその他

すべて文献書誌 (8件)

[文献書誌] 金子栄蔵: "集団検診で発見された十二指腸潰瘍の自然史と血清ペプシノーゲン" Gastroenterol.Endosc. 34. 1564-1568 (1992)
[文献書誌] 鈴木昌文: "Polymerose Chain Reaction(PCR)法を用いた胃生検組織中のガストリンmRNAの検討。" 消化管ホルモン(消化管ホルモン研究会編). 11. 159-164 (1992)
[文献書誌] 劉景超: "H^+、K^+-ATPase阻害剤オメプラゾールの小腸上皮細胞膜酵素系活性への影響" 消化と吸収. 15. 29-32 (1992)
[文献書誌] Hiroyuki Hanai: "Properties of two calcium transport systems of isolated ratileal epithelial cells:effect of Ca^<2+> Channel modulators and membrane potential examined with fluorescent dye,fura-2." European J.Physiol. 419. 184-189 (1991)
[文献書誌] Kobayashi,Takaoki: "A Gastrointestinal serotonin:Depletion due to tetrahydrobiopterin deficiency induced by 2,4-diamino-6-hydroxypyrimidine administration" J.Pharmacol.Experiment Therapeut. 256. 773-779 (1991)
[文献書誌] 花井洋行: "高令ラットと若令における十二指腸単離細胞のCa^<2+> uptakeとeffluxの比較検討。" 消化と吸収. 14. 113-116 (1991)
[文献書誌] 金子栄蔵: "難治性潰瘍・新しい知見と治療「難治性十二指腸潰瘍の病態ー迷走神経抑制系と酸分泌について." 協和企画通信, P68-72 (1990)
[文献書誌] 金子栄蔵: "腹膜疾患。最新内科学体系「消化管疾患5.吸収不良症候群」" 中山書店, P259-288 (1992)

1992 年度 実績報告書

老化および消化性潰瘍における消化管組織中プロトンポンプ遺伝子発現に関する研究

研究代表者

金子 栄蔵 浜松医科大学, 医学部, 教授 (10010414)

研究成果

[文献書誌] 金子 栄蔵: "集団検診で発見された十二指腸潰瘍の自然史と血清ペプシノーゲン" Gastroenterol.Endosc. 34. 1564-1568 (1992)

[文献書誌] 鈴木 昌文: "Polymerose Chain Reaction(PCR)法を用いた胃生検組織中のガストリンmRNAの検討。" 消化管ホルモン(消化管ホルモン研究会編). 11. 159-164 (1992)

[文献書誌] 劉 景超: "H^+、K^+-ATPase阻害剤オメプラゾールの小腸上皮細胞膜酵素系活性への影響" 消化と吸収. 15. 29-32 (1992)

[文献書誌] Hiroyuki Hanai: "Properties of two calcium transport systems of isolated ratileal epithelial cells:effect of Ca^<2+> Channel modulators and membrane potential examined with fluorescent dye,fura-2." European J.Physiol. 419. 184-189 (1991)

[文献書誌] Kobayashi,Takaoki: "A Gastrointestinal serotonin:Depletion due to tetrahydrobiopterin deficiency induced by 2,4-diamino-6-hydroxypyrimidine administration" J.Pharmacol.Experiment Therapeut. 256. 773-779 (1991)

[文献書誌] 花井 洋行: "高令ラットと若令における十二指腸単離細胞のCa^<2+> uptakeとeffluxの比較検討。" 消化と吸収. 14. 113-116 (1991)

[文献書誌] 金子 栄蔵: "難治性潰瘍・新しい知見と治療「難治性十二指腸潰瘍の病態ー迷走神経抑制系と酸分泌について." 協和企画通信, P68-72 (1990)

[文献書誌] 金子 栄蔵: "腹膜疾患。最新内科学体系「消化管疾患5.吸収不良症候群」" 中山書店, P259-288 (1992)

1992 年度実績報告書

金子栄蔵浜松医科大学, 医学部, 教授 (10010414)

[文献書誌] 金子栄蔵: "集団検診で発見された十二指腸潰瘍の自然史と血清ペプシノーゲン" Gastroenterol.Endosc. 34. 1564-1568 (1992)

[文献書誌] 鈴木昌文: "Polymerose Chain Reaction(PCR)法を用いた胃生検組織中のガストリンmRNAの検討。" 消化管ホルモン(消化管ホルモン研究会編). 11. 159-164 (1992)

[文献書誌] 劉景超: "H^+、K^+-ATPase阻害剤オメプラゾールの小腸上皮細胞膜酵素系活性への影響" 消化と吸収. 15. 29-32 (1992)

[文献書誌] 花井洋行: "高令ラットと若令における十二指腸単離細胞のCa^<2+> uptakeとeffluxの比較検討。" 消化と吸収. 14. 113-116 (1991)

[文献書誌] 金子栄蔵: "難治性潰瘍・新しい知見と治療「難治性十二指腸潰瘍の病態ー迷走神経抑制系と酸分泌について." 協和企画通信, P68-72 (1990)

[文献書誌] 金子栄蔵: "腹膜疾患。最新内科学体系「消化管疾患5.吸収不良症候群」" 中山書店, P259-288 (1992)