研究課題/領域番号 |
04670427
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
吉岡 健太郎 名古屋大学, 医学部, 助手 (60201852)
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研究分担者 |
山田 正樹 名古屋大学, 医学部, 医員
田中 一馬 名古屋大学, 医学部, 医員
東 泰行 名古屋大学, 医学部, 医員
各務 伸一 名古屋大学, 医学部, 講師 (10115545)
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キーワード | C型肝炎ウィルス / HCVゲノタイプ / インターフェロン治療 / quasispecies nature / 慢性肝疾患 |
研究概要 |
C型肝炎ウィルスゲノタイプ(HCVI、II、III、IV)を決定する方法を確立し、わが国のC型慢性肝炎患者においてはHCVIIとHCVIIIが大部分を占めていること、HCVIII症例のインターフェロン治療著効率は約60%であり、HCVII症例(約20%)に比べて、インターフェロン治療に対する反応性が良いことを明らかにした。またゲノタイプによるインターフェロン治療反応性の違いがおこるメカニズムを知る目的で、HCV-RNA量を定量したところ、HCVIII症例ではHCVII症例に比べてHCV-RNA量が有意に少ないことが明らかになった。また同じHCV-RNA量の症例でもHCVIII症例はHCVII症例に比べてインターフェロン治療に反応しやすいことが分かった。ゲノタイプによるインターフェロン治療反応性の違いがどこからくるのか今後も検討していく予定である。 各種のC型慢性肝疾患患者(慢性非活動性肝炎、慢性活動性肝炎、肝硬変、肝癌)のHCVゲノタイプを決定し、ゲノタイプと病態との関係を検討した結果、肝硬変、肝癌症例では、より軽い病態に比べてHCVIIIが少なく、HCVIIが多い傾向がみられた。 C型肝炎ウィルスの中でもっとも変異の多いE2/NS1領域の塩基配列を決定すると、他のRNAウィルスと同様に、同時に多数の変異株が共存するquasispecies natureと呼ばれる存在形態をとり、短期間に高い頻度でウィルスの塩基配列に変化が起こっていた。また、インターフェロン治療により、この変異株の相同性は一時的に高くなり、その後もとの状態に戻ることも分かった。インターフェロン治療により肝機能は正常化したが、ウィルスはもとのように残って、健康キャリアの状態になった患者では塩基配列の変化が少ない傾向にあった。今後はウィルスの変化がおこる機序・治療効果に与える影響などについて検討したい。
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