研究課題/領域番号 |
04670428
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
房本 英之 大阪大学, 医学部, 助教授 (90124776)
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研究分担者 |
竹原 徹郎 大阪大学, 医学部・付属病院, 医員
伊藤 敏文 大阪大学, 医学部・付属病院, 医員
笠原 彰紀 大阪大学, 医学部, 助手 (70214286)
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キーワード | 胃粘膜細胞 / RGM-1 / TGFα / HGF / c-met / RT-PCR |
研究概要 |
平成4年度ではアンモニアによる急性胃粘膜病変の障害機序とアンモニア長期投与による胃粘膜萎縮の機序を明かにし、さらにアンモニアがMNNGによる胃癌発生を促進することを示した。しかし、胃粘膜障害の病態を考える上で、障害粘膜の修復過程をみることも重要である。そのためには粘膜細胞の増殖と分化に影響を及ぼす諸因子を詳細に解析するための細胞生物学的アプローチとそれをin vivoで検証するための方法論が必要となる。そこで平成5年度ではウサギ胃粘膜より胃粘膜細胞を分離し、エルトリエーターにより細胞のサイズに応じて分画した。フローサイトメトリーにて各分画のS期細胞の出現頻度を検討すると15-35%で、胃粘膜幹細胞は比較的広い範囲で存在することが判明した。また、S期細胞出現頻度の高い分画に含まれる胃粘膜細胞の増殖が最も良好であった。この分画の細胞を用いて、TGFα、TGFβ、ET-1の胃粘膜細胞の増殖に及ぼす影響を検討した。しかし、本法では各実験毎に細胞の均一性を保つことが困難であるため、理研・松井らによってラット正常胃粘膜より単離された細胞株RGM-1に注目し、その細胞学的性質を調べるとともに胃粘膜の増殖と分化の研究への有用性を検討した。その結果、RGM-1は上皮由来の細胞で主として粘液細胞としての性質をもち増殖性に富んでいるが、軟寒天倍地でコロニーを形成せず腫瘍形成能が低い細胞であることが明らかになった。今後この細胞を用いて粘膜細胞の増殖と分化に影響を及ぼす諸因子について検討を行う予定である。これと平行して、ヒトおよび動物胃粘膜での増殖因子発現をin vivoで検討するためにRT-PCR法を用いて検討を行った。その結果、ラット胃粘膜障害モデルでは障害発生24時間後より、HGF受容体であるc-metの発現が増加すること、またヒトでは潰瘍周辺の再生胃粘膜でのTGFαの発現が潰瘍治癒と共に増加することなどが明かになった。
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