研究課題/領域番号 |
04670430
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
永野 公一 大阪大学, 医学部, 助手 (60237542)
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研究分担者 |
林 暢彦 大阪大学, 医学部・付属病院, 医員
辻 晋悟 大阪大学, 医学部・付属病院, 医員
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キーワード | アンチセンスオリゴヌクレオチド / 胃癌 / c-myc / bcl-2 / アポトーシス |
研究概要 |
今年度は当初の予定を多少変更し、アンチセンス・オリゴヌクレオチドによる消化器癌治療の可能性を探るための研究を培養胃癌細胞を用いて行った。すなわち、c-myc遺伝子は種々の消化器癌でその発現が増強していることが観察されており、消化器癌の発生、進展に重要な役割を果たしていると考えられている。そこで我々は、c-mycに対するアンチセンスおよびセンス・オリゴヌクレオチド(以下AS)をフォスフォーロチオネート体にて作成し、MKN45培養胃癌細胞の増殖を抑制するか否かを検討した。その結果、c-mycアンチセンスオリゴヌクレオチドはMKN45細胞の増殖を0.1-10μMの濃度で40-75%抑制することが判明した。一方対照として用いたc-mycセンスオリゴヌクレオチドではこの抑制は認められなかった。さらにその抗腫瘍効果のメカニズムを検討するために、RT-PCR法、c-MYCフローサイトメトリーを用いてmRNAレベル、蛋白レベルでc-myc遺伝子発現を調べたところ、いずれのレベルでもc-mycの発現が低下していることが明かとなり、c-mycアンチセンスオリゴヌクレオチドは少なくともmRNAレベルでのc-myc遺伝子の発現を制御することにより、抗腫瘍効果を発揮することが示された。また、TUNEL法による検討では、c-mycアンチセンスオリゴヌクレオチドは用量依存性にTUNEL陽性細胞を増加させることが明かとなり、c-mycアンチセンスオリゴヌクレオチドの抗腫瘍効果にアポトーシスが関与する可能性が示唆された。さらにc-myc以外にbcl-2、サイクリンA、E、cdc2、cdk2に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドについても検討を行ったが、bcl-2アンチセンスオリゴヌクレオチドにのみ抗腫瘍効果を認めた。
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