研究概要 |
平成5年の研究ではvasopressinによるphospholipaseC(PLC)活性化に対するprotein kinaseC(PKC)とcAMP依存性キナーゼであるprotein kinaseA(PKA)の効果について検討した.コントロールラット,慢性エタノール投与ラット両群においてPKC賦活剤のphorbol ester(TPA)前処置により抑制,同阻害剤のH7により軽度増強され,PKA賦活剤のCPT-cAMPにより著明な増強,同阻害剤のRpcAMP[S]では変化はみられなかった.また,エタノール(EtOH)を併用した場合,PKC賦活剤,PKA阻害剤はEtOHの抑制効果を増強し,一方,PKC阻害剤,PKA賦活剤はEtOHの効果を減弱させた.このすべての反応において,エタノールラットではPKC,PKAに対する感受性が低下し,慢性エタノール投与によりprotein kinaseに対して耐性を生じることが明らかとなった.また,ヂギトニン処理により作成した透過性肝細胞において,慢性エタノール投与によりIP_3に添加による小胞体からのCa^<2+>放出は明らかに増強され,前年度の研究で推測したようにIP_3受容体の感受性が亢進していることが明らかとなった.
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