研究概要 |
平成6年度の研究では培養肝細胞を用い,単一肝細胞レベルにおけるエタノール(EtOH)(30-300mM),vasopressinによる細胞内Ca^<2+>の変化,つまりCa^<2+>-oscillationを観察し,さらにvasopressinの反応に対するprotein kinaseC(PKC),protein kinaseA(PKA)の影響について検討した。EtOHによる反応はコントロールラット(コ群),慢性エタノール投与ラット(エ群)両群において一過性のCa^<2+>-スパイクを呈し,初期速度には差はみられないが,エ群においてCa^<2+>-濃度の減少速度は緩やかであり,慢性エタノール投与により小胞体におけるATP依存性Ca^<2+>-ポンプ(Ca^<2+>-ATPase)活性の低下が示唆された。vasopressin(0.1-1.0nM)によるCa^<2+>-oscillationはコ群と比較してエ群では棘波型より持続型が有意に多かったが,細胞内Ca^<2+>上昇の初期速度,最高Ca^<2+>濃度には差はみられなかった。また,vasopressinによる反応は平成5年度の報告で明らかにしたように浮遊肝細胞と同様に,両群においてPKC賦活剤のphorbol ester前処置で抑制され,PKA賦活剤のcAMP-nanlogで増強されたが,その程度はエ群において明らかに減弱し,エタノール投与により耐性を生じるものと考えられた。
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