I.神経原性気道炎症の調節 気道の神経原性炎症は、知覚神経末端からのサブスタンスP(SP)等のペプタイド放出によっておこる。我々はモルモットを用い、頚部迷走神経電気刺激及び外因性SP投与を行い神経原性炎症を惹起した。 Neuropeptide Y(NPY)、Ibudilastは、両者とも神経刺激による炎症反応は抑制したが、外因性SPによる炎症に対しては無効であった。よって両薬剤は、神経末端からのペプタイド放出を調節し、炎症を抑制したと考えられた。さらに、NPYの効果はATP感受性Kチャンネル阻害剤存在下でも有効であったが、Ibudilastの効果はATP感受性Kチャンネル阻害剤で消失した。よって、NPYの効果はこのKチャンネルを介さないがIbudilastはこのチャンネルを開口することで作用すると考えられた。 II.慢性気道炎症モデルによる検討 慢性気道炎症を、IL-5の連日吸入(4週間)あるいは感作モルモットに対する抗原連日吸入(4週間)にて惹起した。IL-5連日収入モデルでは、気道への好酸球集積は認められたが、気道の神経性反応の異常は認められなかった。一方、抗原連日吸入モデルにおいては、4週間後に、気道のコリン作動性神経、及び興奮性非コリン非アドレナリン作動性神経(e-NANC)の機能元進が認められた。しかし、外因性アセチルコリン、NKAによる気道収縮反応は、抗原連日吸入后も変化しなかった。以上より以下のことが示唆された。 1)好酸球の気道内集積のみでは、気道の神経原性炎症は増強しない。 2)抗原慢性吸入は、気道の神経原性炎症を増強するが、この機序としては、神経伝達物質の生産能増加あるいは、放出能増加が考えられる。
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