研究分担者 |
酒井 秋男 信州大学, 医学部・附属心脈管研究施設, 助教授 (70020758)
藤本 圭作 信州大学, 医学部・附属病院, 助手 (70242691)
本田 孝行 信州大学, 医学部・附属病院, 助手 (80238815)
小林 俊夫 信州大学, 医学部・附属病院, 講師 (80020775)
関口 守衛 信州大学, 医学部, 教授 (70075232)
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研究概要 |
急性肺損傷の発生機序における蛋白分解酵素,特に好中球エラスターゼの関与について,覚醒時緬羊を用い,以下の実験的研究をおこなった。(1)エンドトキシン肺損傷における特異的好中球エラスターゼ阻害剤,ONO-5046の効果 (i)前投与の効果 E.coliエンドトキシン(ETX)1μg/kg投与前,1時間から,本剤,10mg/kg/hr,を経静脈的に投与しておくと,ETXにより若起される早期の肺高血圧,末梢血好中球減少および後期の肺血管透過性亢進は明らかに抑制された。肺高血圧に一致して認められる血中および肺リンパ液中のトロンボキサンB_2および6-heto PGFidの上昇も本剤により抑制された。また,肺への好中球の集積も抑制された。 (ii)Doie-dependent'の効果 ONO-5046,1mg/kg/hr,を(i)と同様に投与すると,上記の肺高血圧,末梢血好中球減少,後期の肺血管透過性亢進は,およそ50%に抑制された。 (iii)後投与の効果 ONO-5046,10mg/kg/hr,をETX投与開始1時間後に,投与してもETX単独投与群と同様の経過を呈した。 (2)肺微小空気塞栓による肺損傷におけるONO-5046の効果 肺微小空気塞栓による肺高血圧,肺血管透過性亢進にはONO-5046は変化を与えなかった。 以上より,覚醒時緬羊では,エンドトキシン肺損傷の発生には好中球エラスターゼの関与が推定されるが,肺空気塞栓による肺損傷にはその関与が少ないものと推定された。
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