研究概要 |
線維化の機序解明を目的とし、ラットでブレオマイシン(BLM)肺線維症モデルを作製し、間質性肺炎(炎症)から線維化における肺局所での変化を肺胞マクロファージ(AM)のIL-1産生の面から解析した。分泌型IL-1はBLM投与後一日目のみに認められたが細胞関連型IL-1は投与後持続的に産生されていた。抗体処理により分泌型IL-1は主にIL-1β、細胞関連型IL-1はIL-1αであることが示された。細胞関連型IL-1は線維芽細胞の増殖に抑制的に作用し、PGE2の関与が考えられた。つぎにBLM肺線維症の病変局所より線維芽細胞を採取しその増殖能を検討した。BLM投与4日目の肺より採取した線維芽細胞は対照に比し有意に強い増殖を示した。この細胞群を比重遠心法で分画すると対照に比し高比重の細胞が増加していた。 病変局所では、サイトカインによる調節がなされていると考えられ炎症担当細胞のサイトカインの反応性について検討した。単球及び肺胞マクロファージ(AM)のサイトカイン産生に及ぼすIL-4の効果について検討した。LPS刺激による単球,AMのIL-1α,IL-1βやTNF産生をIL-4は抑制した。この抑制は蛋白レベル、mRNAレベルで確認した。またAMはmembrane-formのTNFαを産生することも示したがこれもIL-4は抑制した。一方、IL-1のinhibitorであるIL-1レセプターアンタゴニスト(IL-1ra)産生に及ぼすIL-4の効果について検討した。IL-4はLPS刺激単球及びAMのIL-1raの産生を増強させた。つぎに線維芽細胞の各種サイトカインの反応性について検討した。IL-1,TNFで線維芽細胞を刺激すると培養上清中に好中球遊走活性を認めIL-8が産生されることを示した。また、IL-1刺激により線維芽細胞はPGE2を産生し酵素レベルで検討するとcyclooxygenase2の増加が認められた。 以上より病態形成に種々のサイトカインによる調節機構が関与することが示唆された。
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