1.気道上皮細胞の培養:犬気管を摘出し、剥離した気道粘膜をユラゲナーゼ処理を行うことにより上皮細胞を採取した。これをマイクロポアフィルター上でエアーインターフェース法により10日間培養し、高度に分化した上皮細胞のモノレイヤーが得られた。 2.電気的特性の評価:培養上皮細胞をウッシングチェンバーに固定し、膜電位固定法を用いその電気的特性の評価を行った。各種のカテコラミンは、いずれも上皮細胞の短絡電流を濃度依存性に増加させ、その効力比は、BRL37344(] SY.gtoreq. [)サルブタモール>ノルエピネフリンであった。サルブタモールの効果は、B_2アドレノセプター拮抗薬であるICI118551により著明に抑制されたが、BRL37344の作用は影響を受けなかった。シアノピンドロールは、BRL37344、サルブタモールいずれの作用も濃度依存性に抑制したが、シルドプロット解析より求めたPA_2値は、2薬剤間で有意差が認められた。したがって、気道上皮細胞にはB_3アドレノセプターが存在する可能性が示唆された。 さらに、BRL37344による短絡電流の増加の随伴して、細胞間電位差および細胞コンダクタンスの上昇が認められた。また、以上の効果は、Naチャネルブロッカーであるアミロライド処理による影響は受けなかったが、Clトランスポート阻害薬であるブメタナイドやClチャネルブロッカーであるDPCの前投与により消失した。よって、B_3アドレノセプター刺激による上皮細胞電気的特性の変化は、細胞の漿膜側から管腔側へ向かうClトランスポートの増加に起因するものと考えられ、本受容体の活性化は気道における粘液線毛輸送系を改善する可能性が窺われた。
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