研究概要 |
Leigh症候群における遺伝子異常は好気性代謝異常によるとされ、その原因遺伝子は一つではないと考えられていたが一部においてはcytochromec oxidase,pyruvate dehydrogenaseの異常が酵素活性上からは考えられていた。本研究開始後小児例においてはこの二つの酵素異常の認めていないミトコンドリア遺伝子異常が約半数で同定され、従来NARPあるいはHolt's diseaseと呼ばれていたミトコンドリア異常症を来すミトコンドリア遺伝子にコードされていたATPase6(8993T to G)変異が関係し、異常ミトコンドリア遺伝子の割合がきわめて多い場合に重症なLeigh症候群となると考えられる。成人例5例の白血球ミトコンドリア遺伝子の解析を行ったが、8993T to G変異を示す症例はなく、また主なミトコンドリア遺伝子の異常を13カ所にわたり検索したが原因となりうる変異は認められなかった。したがって成人例においては小児例と異なる遺伝子異常による可能性が高い。そこで2種類の可能性を考えてさらに検索中である。一つはPCR法によりもう一つの原因遺伝子として可能性の高いpyruvate dehydrogenase alpha subunitの検索であり、現在5症例中2症例に関して検索を終了しているが、有意な変異は認めていない。さらにミトコンドリア遺伝子自体に塩基置換がないかも検討しているが、主としてtRNA coding sitesにおいては決定適な結果は得られていない。さらに検索をこれらの症例で加えていく予定である。
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