研究概要 |
目的 中枢性髄鞘産生・維持細胞であるoligodendrocyteの生存維持と変性に関する因子を検討し、培養oligodendrocyteの変性の形態学的特徴を検討した。 方法 4週令ラット大脳よりPercoll density gradientにより、oligodendrocyte-rich fractionを得た。2.5%FCS Eagle's mediumにて一昼夜培養した。2日目に0.5%FCSを含む培養液に変更した。培養液中にはinsulinを高濃度(5μg/ml)に添加したが、さらにEGF(10ng/ml),FGF(30ng/ml),PDGF(10ng/ml)などを加えた。培養3-7日後に抗galactocerebroside抗体でoligodendrocyteを蛍光染色し、形態的変化を共焦点レーザー顕微鏡で観察した。またBrdUを用いて各種の神経栄養因子のmitogenicityも調べた。 結果 oligodendrocyteの突起は培養2日目より伸長し、分化した後に細胞死がみられた。細胞体から突起の断裂がみられた。FGF,PDGF,EGF投与群では、oligodendrocyteの変性は少なかった。FGF,PDGF,EGFは4週令のoligodendrocyteに対してmitogenicityをもたなかったが、生存維持には必要と思われた。 結語 各種の神経栄養因子は4週令のoligodendrocyteの生存維持に必要であるが、細胞死の機序についてはさらに検討を要する。また各種の神経栄養因子の組み合わせの効果についても、今後検討予定である。
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