研究概要 |
各種の神経栄養因子のoligodendrocyte,oligodendrocyte-type 2astrocyte(O-2A)progenitor cellに対する作用を調べた。新生及び1週令のラット大脳細胞を用いた。1)培養系にインシュリンを添加しないと細胞は変性した。インシュリンは、survival factorであると確認された。2)そこで、各培養液には5μg/mlのインシュリンを加えた状態で実験した。3)FGFはoligoに対して増殖活性を示したが、O-2A progenitor cellに対しては、弱いか、もしくは活性を認めなかった。4)EGFはoligoに対して増殖活性を示したが、O-2A progenitor cellでは、新生ラットでは効果がなく、1週令では増殖活性を示した。5)PDGFはO-2A progenitor cellとoligoに対し増殖活性を示した。6)endothelin-3は初期にはO-2A progenitor cell,oligoに対し増殖活性を示したが、中期培養液後には両者とも変性・脱落し、astrocyteの増殖がみられ、bundleの形成がみられた。7)retinoic acidはO-2A progenitor cell及びoligoに対し、toxicに作用し、変性・脱落を示した。8)新生oligoは0.5%FCSの培養系下では9-10日後には変性・脱落を示したが、1週令のoligoではそうではなかった。低濃度のEGF,PDGF投与群では、変性の抑制とBrdUのとりこみの増加がみられ、分裂の促進がみられた。EGFやPDGFはoligoのsurvival factorとしても作用している可能性が推定された。4週令のラット大脳由来oligoの生存維持と変性について調べた。1)0.5%FCSを含む培養液では、oligoの突起は伸長し、分化した後に、細胞体からの突起の断裂がみられ、細胞死がみられた。2)FGF,PDGF,EGFは、4週令のoligoに対して、mitogenicityをもたなかったが、生存維持には必要と思われた。
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