研究概要 |
Saccadeに先行する立ち上がり緩徐な陰性電位(presaccadic negative potential,PSN)の頭皮上分布について、右向きsaccadeと左向きsaccadeで検討すると、最大振幅はCzにあることが多く、その他、Pz、反対側のC3、C4、F4などであった。また、後頭部以外ではsaccadeの方向と反対側の頭皮上で同側の頭皮上より大きな振幅を示し、後頭部では逆にsaccadeの方向と同側の頭皮上で反対側より振幅が大きい傾向にあった。後頭部で見られたPSNは暗闇でのsaccadeでは見られず、視刺激に由来するものと思われた。PSNの同側後頭部での優位性は、視覚誘発電位で、17野のニューロンは内向き電流双極子を作るため、同側頭皮上で見かけ上より大きな電位が記録される現象(paradoxical lateralization)を反映していることが予想された。PSNは補足運動野以外の大脳皮質神経活動も反映していることが示唆された。 また、手指のimaginary movementにより運動を想像するだけでも、実際の随意運動の際と同様な分布、振幅を持った準備運動電位が得られ、準備電位は実際の筋活動ではなく、運動を行おうとする準備状態、運動のプログラミングに関与すると考えられ、Roland(1980)がimaginary movementより補足運動野、反対側の一次運動知覚野で脳血流が増加していることを示したのと同じ結果であった。
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