研究概要 |
(1)ミトコンドリア脳筋症診断システムの確立 ミトコンドリア脳筋症の診断には組織化学的,生化学的,分子生物学的な総合判断が不可欠である。以上3種類の方法を使用して,1992年には新に慢性進行性外眼筋麻痺症候群14例,メラス(MELAS)18例,ミオクロヌスてんかん(MERRF)3例をみい出した。その他19例のミトコンドリア病についても検討した。 (2)メラス(3243 A→G変異)の多様性 メラス患者の約80%にtRNA^<Leu(UUR)>のA→G変異が存在する。この点変異をもつ患者70名を分折したこころ、典型的な卆中様症状以外に、筋症状(易疲労性のみ)や、糖尿病,外眼筋麻痺,低身長のみと多様な症状をもつ症例が多く存在することが分り、症状の多様性が証明された。その中に3243変異をもちながら筋症状が改善する症例があった。この例えは症状の改善とともに変異ミトコンドリアDNAの比率が78%から25%に低下していた。症状、病理所見は変異ミトコンドリアDNAの重に比例した。変異ミトコンドリアDNA比率の変動は核DNAに影響されることを前提に培着系での検討を進めている。 (3)メラス(3243)変異ミトコンドリアと血管異常 MELASの主症状は卒中様発作である。この発作症状の発現には血管の異常が関与していると確定される。筋内の血層,特に平筋励細胞内のミトコンドリア異常が約90%の王検筋にみられる。その異常ミトコンドリアと3243変異ミトコンドリアの関係をin situ bybridizationでみた。ミトコンドリアが集積した異常血管にはミトコンドリアDNAの集積があり、変異ミトコンドリアDNAの増加が形要形成に関与していることが証明された。
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