研究課題/領域番号 |
04670516
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
上原 誉志夫 東京大学, 医学部(病), 助手 (40184965)
|
研究分担者 |
石光 俊彦 獨協医科大学(病), 講師 (80232346)
松岡 博昭 東京大学, 医学部(病), 講師 (20111544)
永田 泰自 東京大学, 医学部(病), 医員
|
キーワード | プロスタサイクリン / プロスタサイクリン合成酵素 / 血管平滑筋細胞 / 高血圧自然発症ラット / トランスジェニックラット / 形質変換 / プロスタグランジン / 高血圧 |
研究概要 |
われわれは、高血圧の進展とともに血管壁プロスタサイクリン合成が増大することを報告してきた。プロスタサイクリン合成酵素活性の測定系を確立し、プロスタサイクリン産生における各種酵素の関与について検討したが、高血圧時の血管壁プロスタサイクリン産生の増大にはフォスフォリパーゼ活性よりもプロスタサイクリン合成酵素の活性増大が関連することをみいだした。高血圧の発症機序によらず、血圧の上昇は常に血管壁プロスタサイクリン合成酵素活性の増大を伴うことから、持続的な血行力学的刺激が本酵素活性の増大を生じるものと結論された。酵素学的解析からは本活性の増大は主に酵素の活生化よりも酵素自体の誘導による可能性が示唆された。プロスタサイクリン合成酵素の誘導については、血管平滑筋培養細胞を用いても検討された。血管平滑筋細胞増殖時にはプロスタサイクリン産生の増加がみられるが、プロスタサイクリン合成酵素活性の誘導が一部関与することが観察された。一連の研究から、高血圧発症時の血管壁にはプロスタサイクリン合成酵素の含量が多いことが推測され、プロスタサイクリン合成酵素の精製には高血圧発症時の高血圧自然発症ラット大動脈壁を用いるのが有用と考えられた。精製は、イオン交換、ゲル濾過法及び等電点クロマトフォーカシング法を用いた。またそれに平行し、平滑筋細胞への導伝導入における基礎的検討を行った。指数減衰波パルス法では、平滑筋細胞は400V、35-100μFの電撃で15-20分間にわたり細胞膜透過性が亢進し、外液中の遺伝子が導入されることが明らかにされた。その後本細胞は通常の細胞機能を持続し、導入された因子の作用の発現がみられることが確認された。今後、精製とクローニングを進め、プロスタサイクリン合成酵素遺伝子の導入による血管平滑筋細胞の形質変換について検討する予定である。
|