研究概要 |
高血圧による圧負荷肥大心の梗塞後の左心室レベルおよび心筋細胞,間質レベルのRemodelingを,実験犬を用い,(1)高血圧による圧負荷肥大心のみ,(2)高血圧による圧負荷肥大心のない梗塞心,(3)肥大心,梗塞がともにない成犬,をコントロールとして検討することを目的としている。本年度は雑種成犬10頭の左腎動脈をCLipで狭窄し,高血圧を誘発することを主たる目的とした。まず,雑種成犬20頭に対し,開腹して腎動脈をクリップにて狭窄した。このうち10頭が術後の感染等で死亡した。生存した10頭は,手術後4ヵ月に心エコー図で左室壁厚を計測したところ,手術前に比較し壁厚は増加していた。このような肥大心に対して,閉胸麻酔下に左頸動脈より冠動脈カテーテルを挿入し,これよりPTCA用バルーンカテーテルを用い,左冠動脈前下行枝を4時間閉塞し,急性心筋梗塞を作成した(肥大心5頭,コントロール犬3頭)。又,同時に側副血行路を防ぐため冠動脈内へ一定量のコイル,ペーストを注入した。しかしながら,心筋梗塞作成により2頭づつ死亡した。梗塞直前,閉塞1時間後,3時間後,1日後,3日後に左室圧,心室造影を行っており,現在その解析について検討を行っている段階である。今後の課題は,肥大心をもつ成犬を確実に多く作成すること,心筋梗塞作成時に,適当な大きさの心筋梗塞作成を行い,死亡数を減少させることについて検討を加えることと考えている。次年度よりは,梗塞後のRemodelingについて詳細な検討を加えることが出来ると考えている。
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