研究課題/領域番号 |
04670536
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
循環器内科学
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研究機関 | 島根医科大学 |
研究代表者 |
本田 正明 島根医科大学, 医学部, 講師 (90127530)
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研究分担者 |
田中 光一 島根医科大学, 医学部, 助手 (00252924)
石永 裕司 島根医科大学, 医学部, 助手 (70243433)
盛岡 茂文 島根医科大学, 医学部, 助教授 (00157877)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1994
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キーワード | Heart failure / Calcium transients / Monocrotaline / Cardiac hypertrophy / Heart rate dependency |
研究概要 |
心筋細胞内のCaイオンは心筋の興奮-収縮連関と密接に関係している。我々は、心不全心における収縮能異常の原因として心筋細胞内Ca動員異常が関与していることを単離心筋細胞を用いて明らかにしてきた。さらに本研究で、心不全心における拡張障害と心筋細胞内Ca動態の関係を解析した。これまで報告してきたように、モノクロタリン誘発肺高血圧右室肥大・心不全モデル心より心筋細胞を単離し、Fura-2/AM負荷後、刺激頻度を変え心筋細胞内Caトランジエントの変化を正常心のそれと比較検討した。その結果、正常心では刺激頻度を0.5Hzから5Hzまで増加させるとCaトランジエントのresting ratio(RR)は徐々に上昇したが、それに伴いpeak ratio(PR)も増加し、amplitude(PR-RR)はむしろ増大した。一方、心不全心では刺激頻度を増加させると、正常心同様、RRは増加した。しかし、PRは増加するも、その増加率は低く、その結果、amplitudeは徐々に減少した。そして5Hzでは、RRは著明に上昇し、amplitudeは消失した。このような変化は心不全の程度と良く相関した。正常心、および心不全心のいずれにおいても刺激頻度をもとに戻すともとの変化に回復した。以上の結果より、心不全心におけるCa動態は心拍数に依存し、大きく変化する。即ち、心拍数が増加すると、Ca動員機構のみならず、Ca除去機能障害が著明に出現し、収縮障害、拡張障害を来すことが判明した。心不全心において心筋細胞膜Caチャンネルを介した細胞外から内へのCa流入は障害されないと考えられており、心不全心では心筋小胞体でのCa動員・除去機能が刺激頻度が上昇すると追いつかなくなり、このような現象を来すものと考える。この結果は、心不心において、心拍コントロールが心機能を維持、または改善するのに非常に大切であることを示しており、心不全患者の治療上、非常に示唆に富んだ結果といえる。
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