研究課題/領域番号 |
04670547
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
三浦 哲嗣 札幌医科大学, 医学部, 講師 (90199951)
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研究分担者 |
小川 孝 札幌医科大学, 医学部, 助手 (80240927)
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キーワード | preconditioning / ischemia / potassium channel / myocardium |
研究概要 |
1.Preconditioningに及ぼすamilorideの影響 家兎の実験的心筋梗塞に対するpreconditioningの機序におけるNa-H exchangeの役割を検討するために、preconditioningの梗塞抑制効果に及ぼすamilorideの影響を解析した。麻酔家兎において有効なamilorideの用量を検討したところ、1.5mg/kgは生理食塩水負荷の条件下で、尿中Na排泄の促進ならびにH^+排泄の抑制をもたらす用量であることが確認preconditioning効果への影響を検討したところ、いずれの用量のamilorideによってもpreconditioningの梗塞抑制効果には変化が見られなかった。なお、3.0mg/kgのamiloride投与により冠動脈閉塞前の動脈血HCO3_-は有意に低下しており、少なくとも腎におけるNa-H exchangeはamilorideにより抑制されたと考えられる。以上の成績よりpreconditioningの機序にNa-H exchangeが関与することは支持されなかった。 2.preconditioningに対するATP sensitive potassium channel拮抗薬の影響 preconditioningの機序におけるNa-H exchangeの役割に関しては、むしろ否定的な成績が得られたため、Na-H exchangeと同じくadenosine A1 receptorと関連するATP sensitive potassium channel(KATP)に注目した。KATPの特異的な拮抗薬であるglibenclamideを用い、そのpreconditioningの梗塞抑制効果に及ぼす効果を検討した。glibenclamideはpreconditioningされていない心筋に対しては虚血心筋壊死を促進させる効果が見られ、KATPが虚血障害に対して内因性の防御機転の一端を担う可能性が示唆された。しかし、preconditioningに対しては、preconditioning ischemiaが3分間ならびに5分間の場合も、preconditioningの梗塞抑制効果はglibenclamideにより抑制されなかった。また、prazosin、metoprololの併用により心筋酸素消費を抑制した条件下では、glibenclamideの梗塞促進効果が認められなかったが、この条件においてもglibenclamideはpreconditioningを阻害しなかった。これらの成績より、KATPがpreconditioningに重要な役割を担う可能性もむしろ否定的と考えられた。 3.抽出心灌流標本における検討 前述のように、Na-H exchange、ATP sensitive potassium channelのいずれに関しても、preconditioningの機序における役割はin situの実験的梗塞モデルの成績からは否定的な成績が得られた。しかし、それらはin situのモデルでのamilorideやglibencdlamideの投与量の限界から、両薬剤の充分な効果が得られなかった可能性が残る。この点をさらに検討するために、家兎の摘出心灌流標本において種々の濃度のamiloride、glibeclamideを用いさらに検討中である。
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