研究概要 |
1.ヒト腎皮質、髄質の新鮮細胞上皮に交感神経α受容体のうちサブタイプα1受容体とα2受容体の存在がradioligand binding assay法により証明された。 2.ヒト腎髄質、乳頭部の集合管上皮細胞の選択的分離培養で以下のことが判明した。 a.分離培養は可能であるが実験試料として十分ではない。 b.継代培養はできない。従って、継代による増殖は不可能である。 展開 1.現在、交感神経α受容体のサブタイプα1A、α1B、α2A、α2B受容体に各々特異的親和性をもつWB4101、CDC、ロオウオルシンが入手可能となった。これによりα1、α2受容体のサブタイプの同定が行われる予定である。 2.同時にcAMP測定による細胞内刺激伝達系の情報も得られる可能性がある。 3.また、これら選択的α受容体遮断薬は、ヒト腎髄質のみならず、α受容体濃度のより高いヒト腎皮質の交感神経α受容体への研究にも応用が期待出来る。ヒト腎皮質α受容体は、これを介して、水・電解質再吸収を抑制する作用、あるいは近位尿細管におけるPTH(副甲状腺ホルモン)の受容体を介するcAMP産生を抑制することが動物実験で知られてきた。しかし、ヒトでは、in vivo,in vitroともに未だ証明されていない。従って、今回の実験方法と選択的α受容体遮断薬がヒト腎皮質へのα受容体研究にも応用可能となる。
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