研究概要 |
ADP/ATP担体蛋白(AAC)はmitochondria(Mt)内膜に存在し、ATPの細胞質への輸送を担っている。特発性心筋症ハムスターJ-2-Nを用いて、まずAACの量的異常に関して検討を試みた。心筋症ハムスターの心筋を摘出後、Mtを分離。EMAにてAACを標識する。SDS-PAGEにて膜蛋白を泳動後,UV照射にてAACのbanndを確認後AACの含有率、含有量を求めた。その結果心筋症を発症したハムスターでは対照に比して心筋MtのAAC含有率は有意に低下しており、特に心筋症の発症が早期で強いものにその傾向が強かった。次に特発性心筋症ハムスターのAACの異常に関して分子生物学的手法を用いて解析を試みた。J-2-N、Bio14.6、Golden hamsterの心筋RNAよりmRNAを抽出し、逆転写酵素でcDNA libraryを作製。これからヒトAAC cDNAをprobeとし各ハムスターAAC cDNAをcloningすることに成功した。これらのcDNA cording regionをPCR法にて増幅してから、各fragmentをPCR-SSCP法にて解析、またRNA希釈系列を作製しRNA hybridization法にて解析した。その結果、AAC cDNAをprobeとしてのRNA hybridization法にてAACのmRNAレベルはGolden hamsterが一番高くJ-2-Nハムスターの中でも心筋症発症の強いもの、J-2-Nのうち心筋症発症の弱いもの、そしてBio14.6の順であり、J-2-Nの間でも心筋障害が高度である方がAACのmRNAレベルはより低かった。特発性心筋症の病因の一つにAACの量的異常が存在し、それに関連してAACのmRNAレベルの異常が関与していると判断された。
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